ミンメイは落書き帳から生まれ、松田聖子と中森明菜を足して2で割ってできた

 マクロスのキャラクターデザイナーといえば、美樹本晴彦氏。
 初代マクロスのある意味で「主役」は一条輝(ひかる)よりも、歌姫リン・ミンメイでしょう。
 そのミンメイは、美樹本氏の落書き帳にあった女性から生まれたそうです。
 美樹本氏がインタビューで以下のように答えています。<31~33ページ、『語れ!マクロス』(KKベストセラーズ、2013年)>
 

 仕事用とは別に、個人的な落書き帳にキャラクターを描いてたんです。その中でチャイナドレスの女の子と、黒人の女性が特に面白いと言ってもらえて、それがミンメイとクローディアの原型になったんですね。
 アイドルにはそれほど詳しかったわけではないです。当時は松田聖子さんの歌をよく聴いたり好きではありましたけど、それ以前は歌謡曲に興味がなくて、むしろアニメソングばかり聴いていました。だからこそ、ちょうどアイドル歌手に一番ハマっていた時期に「アニメに歌手出しちゃおうよ」と言えたんじゃないですかね。
 リン・ミンメイの原点も、松田聖子さんと中森明菜さんを足して2で割った感じでしたね。特に松田聖子さんのイメージが強い。中森明菜さんは素に近い印象がありましたが、松田聖子さんは涙が出ていない泣きとか、アイドルを演じているという印象が強くて、そこが面白かったんですね。
 (略)
 だから女の子のキャラクターも、着たきり雀はないだろうと、髪型変えたっていいじゃないかと。ロボットもののヒロインってお決まりのパターンが多くて、それを壊したくて。主人公に都合の良い女の子ではなくて、ちょっと振りまわすような、生々しいキャラクターを描きたいよねとか、自由に言わせてもらえる場でしたね。
 (略)
 実は僕も第一話のシナリオを見せていただいたとき、三人娘やクローディア艦長のやり取りを提案させてもらったりと。
 (略)
 ミンメイが服を着替えたり髪型を変えるのは、今の自分だったらとても言い出さなかったでしょうね。特に普通の女の子のように髪を上げたり下げたりするムードを出したいという話をしたときは、さすがに石黒さん(昇、監督*編注)もちょっと迷われましたね。キャラクターの見分けがつかなくなるとも言われたんですが、それは髪の色でカバーすればいいということで、なんとか通していただいたんです。
 「髪型を変える」のは、バンク(絵の使い回し)が効かなくなりますし、設定もその度に作らなきゃいけなくなる。設定が遅れれば作業が遅れて、しわ寄せが後ろに回ってくる。作業効率を考えるのは、もっともなことなんですね。
 「マクロス」以前はメカはともかく人物のキャラクターに商品価値が認められていなかったと思います。(略)現にアイドル歌手とか大きなビジネスになっている、だったらアニメのキャラクターでも同じことをやれば商売として成立するんだと提案はしましたね。でも、当時はなかなか受け入れてもらえなかった。
 (略)僕らは画集ではなくてミンメイの写真集という形で本を出せばいいんじゃないか、サントラじゃなくミンメイのアルバムを出そうよと言っていたんですが、おそらく当時は斬新すぎたと。

シェリルのアルバムをはじめ、アニメキャラのアルバムなんて当たり前だと思っていたけど、初代マクロスのときは「非常識」だったんだ


女の子がいつも同じ髪型なんておかしいよね笑


髪型をかえてもわかるように髪の色をかえるというのはなるほどな手法だね


マクロスデルタは歌姫が5人もいるけど、髪の色でわかるようになっている


1980年代だと、髪の色を染めるのは「不良」と言われていたらしいよ笑


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